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 結果、彼は人生で最初で最後の「父からの贈り物」を受け取ることになる。その命が潰える間際、武王ゾラージャは人生の中で勝ち得た「武王」の権限を、グルージャに受け渡したのだ。これまで受けてきた仕打ち、父が犯した数々の罪、そして大きすぎる権力。悩みに悩んだ末、彼は新生アレクサンドリア王国の武王権限を預かることを決意するのだった。
 その後、オブリビオンの技師であるシェールに師事し、エレクトロープの扱いを学ぶこととなったグルージャは、カリュクスと決着をつけようとする冒険者たちの支援に大きく貢献する。だが、責任感の強い彼は、自分の力が及ばず武王権限を悪用されてしまったことを悔いることに。それでも、彼は幼いながらも、未熟な自分を認めることができた。一連の戦いの後、グルージャは「強さ」を求め、トライヨラで剣の修業を行うことを決意する。しかし、それは必ずしも父と同じ路を歩み始めたことを意味しない。彼はオーティスや冒険者といった、手本にすべき背中を、しっかりと見据えているのだから。"
182,スフェーン
183,スフェーン
184,"新生アレクサンドリア連王国
理王"
185," 新生アレクサンドリア連王国の当代理王。
 第九世界における数百年前のこと、霧の大陸の主要国のひとつアレクサンドリア王国にて、スフェーンは王女として生まれた。しかし、世界規模の戦乱である「雷光大戦」が勃発。この戦乱で両親を喪い、若くして王位を継いだ彼女であったが、環境エーテルが雷属性に偏ったことを受け、身体に麻痺症状が出てしまう。大戦を終結に導き、どうにか王国を護りはしたものの、ついには倒れてしまうスフェーン。彼女の肉体は、王家に関わる一部の人間と、その支援を受けていたプリザベーションによって低温保存されたのだった。その後、数十年の時を経て確立した技術によって、彼女は永久人として蘇ることになる。
 こうして生まれた「永久人スフェーン」は、永久不変の王としてアレクサンドリアを治め続け、やがて永久人たちが住まう理想郷としてリビング・メモリーを整備してゆく。だが、寿命に限りはなくとも、存在を維持するにはエーテルが不可欠であり、やがて限界が見え始める。
 永久人の維持に必要な生命エーテルは年々減少し、国内の循環だけではいずれ賄うことができなくなるという事実に、永久人スフェーンは焦りをつのらせていく。だが、その苦悩すらもカリュクスの筋書きだった。確実に破綻するリビング・メモリーを治め続けさせることで、永久人スフェーンに「民を護りたい」という強い願いを抱かせ、「世界を繋ぐ力」の「鍵」を発動させるためである。
 かくして助けを求めることも、差し伸べられた手を取ることも許されず、追い詰められた彼女はついに「鍵」の力を発動。そして自らの記憶を消去し、感情のない機構「エターナルクイーン」と成り果てる。愛するアレクサンドリアの民を護るため、密かに親しみを覚えていた冒険者やウクラマトたちと敵対する路を選ぶほかなかったのだ。この直接対決に敗れた永久人スフェーンは、存在が消え去る最期の瞬間に意識を再構成する。内に秘めていた本当の想いを、信頼する者たちに託すために――。そうして「鍵」は冒険者に託され、彼女が何よりも愛した民の笑顔を守ると、ウクラマトが約束するのだった。
 永久人スフェーンの消滅後、メインターミナルが停止したことで、低温状態で眠っていた「オリジナル」のスフェーンが目覚めることとなる。彼女は「新生アレクサンドリア連王国」として大きく変貌した母国の姿に驚愕するが、冒険者たちと行動を共にするうちに、民の本質は今も昔も変わらないことを知っていく。
 そんな彼女の前に現れたのは、永久人となって活動を続けていたカリュクスと、記憶のバックアップから創られた第二の永久人スフェーン、通称「シミュラント」だった。永久人を人類の進化の形と考え、その存続のため多くの命を糧にしようというカリュクスの野望を知ったスフェーンは、冒険者たちと協力しようと決意。
 そして、冒険者たちの助力もあって、「永遠の闇」を召喚したカリュクスを退けることに成功した彼女は、その後、新生アレクサンドリア連王国の新たな理王として国民たちに迎えられ、武王権限を継いだグルージャと共に、ふたたび国の未来を担うことになるのだった。"
186,ユルス
187,ユルス・ピル・ノルバヌス
188,"ガレマール帝国軍
第I軍団"
189," 第I軍団所属の下級士官。勤勉で努力家、上官の評価が高く、同期の中でも出世頭だと期待されていた。ヴァリス帝の死をきっかけとして第I軍団と第III軍団が帝都で交戦する中、戦況報告のため療養中の軍団長クイントゥスの元へ参上したところで、蛮神「アニマ」が召喚される。ユルス本人はクイントゥスらとともに事なきを得たものの、地方への避難を翌朝に控えていた両親と弟、妹がテンパードとなり、再会した際にユルス自ら手をかけることとなってしまう。
 哀しみと飢え、寒さの中を、彼は生きた。
 希望がなかったわけではない。クイントゥスが第X軍団に使者を送っていたのだ。帝国属州に派遣されている各軍団から戦力を集め、アニマのいる「バブイルの塔」……かつては魔導城と呼ばれた場所を制圧できれば、そこから帝国再建を始められるはずだった。
 しかし、霜雪を踏みしめてガレマルドへとやってきたのは、敵対していたはずの諸国が遣わした救援部隊「イルサバード派遣団」だったのだ。生き残っていた帝国市民たちは戦慄し、徹底抗戦を掲げる者も少なくなかった。第I軍団も対立の姿勢を崩さずにいる中、命懸けで対話を望んだアルフィノ、アリゼーと、監視役を任されたユルスのあいだで、ささやかな交流が始まる。青燐水を求めて凍てつく廃墟を歩き回りながら、ユルスは在りし日の帝都の風景や、短い夏にのみ広がる草原の青さを語って聞かせたのだった。
 それも長くは続かない。クイントゥスが、アルフィノとアリゼーを人質にして、派遣団に物資の譲渡と撤退を持ちかけることを決定したのだ。交渉が決裂した場合、身命尽きようとも蛮族を排せよ……それがユルスに与えられた命令だった。覚悟を決めキャンプ・ブロークングラスへとやってきたユルスに、派遣団を率いるルキアが告げる。第X軍団が、グランドカンパニー・エオルゼアに保護を申し入れてきた、と。各軍団は独自路線をゆき、帝都解放のために集うことはなかった。第X軍団そのものも、属州兵の大量離反を許し、継戦能力を喪失したとのことだった。
 かくして第I軍団の希望は潰えた。寒夜のこと、俯いたままのユルスに、派遣団の一員が温かなスープを手渡す。ただ隣人として、「生きててよかったな」という言葉とともに。
 その後は、一時的にアニマの精神汚染を受けるも快復。恐るべき「終末の災厄」が到来した際には、派遣団や「暁」に協力し、有志の帝国兵たちとともに戦った。
 ガレマルドは今なお大半が廃墟となっており、復興への道のりは遠い。それでも現地で暮らし続ける人々は「ガレアン・コミュニティ」と呼ばれ、ラザハンとの通商条約締結をはじめ、新たな未来に向けて歩み出している。
 ユルスもその一員として粉骨砕身しているわけだが……アルフィノたちと率先して絆を結んできたからか、はたまた妹や弟に向けていた面倒見の良さが発揮されているのか、すっかり輪の中心に収まっている。
 最近、異世界から来た友ができた。なんだかんだで、やはり世話を焼かずにはいられなかった模様。"
190,リヴィングウェイ
191,リヴィングウェイ
192,レポリットの統括役
193," レポリットとは、月に棲まうウサギに似た顔立ちを持つ者たちだ。その正体は、「終末の災厄」の再来に供え、月を人類の脱出船として準備するために、ハイデリンが創造した一種の使い魔であるという。リヴィングウェイは、その統括役を務める個体であり、「ハイデリン様の右腕」を自称している。
 そもそも、月とは何なのか。古代の人々は、アーテリスを脅かす「終末の災厄」に対し、召喚したゾディアークを星の意志に据え、天脈を補強することで対抗した。裏を返せば、未来についての主張を異にするヴェーネス派でさえ、ゾディアークを完全に消し去ってしまうわけにはいかなかったということだ。そこで彼女らは、ゾディアークをどうにかして人の手が届かない形で封印しなければならなかった。そのために創造されたのがハイデリンであり、ハイデリンの手によって創り出されたゾディアークの「檻」が、月なのである。
 その機構の一端である「月の監視者」によれば、ハイデリンは決して万能でも最強でもなく、いつだって窮地の中で手を尽くさなければならなかったという。月にもうひとつの役目……すなわち、人類を異星へと運ぶ「船」の役割を持たせたのも、いつかゾディアークが消滅してしまった場合に備えてのことだった。
 とはいえ、月にはゾディアーク以外に何もない。月とともに創られた、そのクルーであるレポリットたちは、長い長い年月をかけてすべてを準備しなければならなかった。かつて世界の構造を研究していたヴェーネスらの知識と理論を引き継ぐ形で、跳躍航行装置をはじめとした船の設備を製作。さらに困難だったのが、人を月に招き入れるための準備である。なにせ、人が呼吸するための大気を作るところから始める必要があったのだから……。
 レポリットは環境を構築し、それが定着するまでは休眠を取るといったサイクルを繰り返しながら、どうにか月を快適な船へと整えていった。ときには地上の協力者……ハイデリンの声を聴いたシャーレアンの哲学者議会から、現代にまつわる知識を送ってもらうこともあったという。リヴィングウェイは、このときに受け取った「余白のある本」を宝物にしている。
 そしてついにゾディアークが消滅し、月の役割が檻から船へと移行した。ところが、いち早くやってきた「暁の血盟」に環境を披露しても、反応が芳しくない。古代人を基準としていた街の規格は何もかもが大きすぎたし、最善を尽くしたはずの衣食住はどれも不評、ナンカチガウという顔をされている……!
 リヴィングウェイたちは震え上がりながらも、味方になってくれそうなウリエンジェに協力を要請。地上の人々に、月は完璧な場所だから早く避難するようにと、伝えてもらおうとしたのだ。たとえそれが真っ赤な嘘でも、一刻も早く終末から逃げなければ、大勢の命が失われてしまうのだから。
 つまるところ、レポリットは人類のことが大好きだった。それはハイデリンが「アーテリスに暮らす命への想い」を込めて彼女たちを創ったからであり……レポリット自身が、月面から青い星を見上げ、いつかそこで暮らす者たちと会える日を楽しみに船を整備してきた結果でもある。
 最終的に、月が船として使われることはなかった。人は終末と戦うことを選び、月に搭載されていた跳躍航行装置などは、「魔導船ラグナロク」に積まれることとなったのだ。
 然して終末が去った今、リヴィングウェイたちは新たな生き方を模索しているが、人の役に立てるのが嬉しいことには変わりない。いつかは嘘偽りなく、「レポリット最高、リヴィングウェイは人類の素敵な右腕」と言わしめたいと、想いを馳せる日々である。"
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